採用原則
当事務所の採用に関する原則は、専門職・事務職を問わず、ひたすら人物本位です。
第1に、私たちは、現状に満足しない、鋭い感性をもった個人の、有機的な結合による法律事務所を建設しようとしています。とりわけ専門職の場合、こうした感性を持つ、持続的に自己変革可能な人物であることこそ、最も重視されます。
応募者は歩んできた過去から何を学び、今をどう考え、将来に向かって何をしようとしているのかについて、借り物ではない自分の言葉で語ることが求められます。
第2に、入所後、(1)体力的・知力的にきつい仕事をこなせるか、(2)年齢・経験の差に拘らず大胆に自己主張する精神とそれを相互の権利と認める謙虚さとを併せ持ち、厳しい相互批判を真摯に受け止める克己心があるか、(3)専門職としての際限のない知的・人間的成長という要求に応えられるか、の3点が専門職にとって特に重要です。私達は弁護士の仕事は本来、きつい、厳しい、きりがない、と言う意味で「弁護士の仕事は3Kである」と断言します。この覚悟のない者には、そもそも我が事務所の門を叩く資格がありません。
かつては、主として我々の未成熟さから、原則の一部を傍らにおいたり、情に流されたりした採用も稀にありました。しかし、近年の採用は、既存戦力の目覚ましい成長と活躍を背景として、採用原則を貫いています。この姿勢は今後も変わりません。
第3に、専門職、事務職を問わず、性差、年齢、学歴等によって採否を決定したことはありません。
現在、専門職19名中4名が女性(弁護士4)です。
学歴に関しては、一見いわゆる有名大学に偏っているかに見えますが、それは試験の合格者分布の反映に過ぎません。実際、入所の挨拶状作成段階で初めて入所者の出身大学を知ったとか、態度・物腰・見識などから最年少合格者と気付かず2・3年経過してその事実を知ったなどというエピソードには事欠きません。
過去が現在に繋がっているとはいえ、学歴をも含む経歴は、応募者の将来を判断するうえでのささやかな情報の一つにすぎないと位置付けています。
なお、全ての所員は、事務所に対し、自己の縁故者たることを理由として所員への採用を働きかけることが禁じられています。応募者または所員のいずれかが、特定の応募者との縁故関係を事前に開示した場合、そのことのみが理由で不採用になることすらあります。私たちは、採用手続における公平を貫きます。所長もまた、その例外ではありません。
新卒応募者の方へ
当事務所では、9月発表から2ヶ月余りの間に毎年200名を超える人々と面接をします。その中で1ないし2名を採用するだけですので、新卒採用が激戦であることをご覚悟下さい。
しかし、本当に覚悟いただくのは、競争の倍率などではありません。「真に依頼者に役立つ弁護士とは何か」について、各自が相応の考えを持っていること、そのためには弁護士として法的能力、技術が求められるのは当然として(またそれが、経験とともに積み上がってゆくことにある程度の楽観をするとして)、弁護士たらんとする者の基本的資質ないし能力として何が大切か、について自分なりに考え抜いた意見を持ってご来所下さい。
中堅弁護士採用の基本方針
志の高い、行動力ある、質の高い法律事務の実現に努力している方を求めます。
また、「専門性」という名の「部分化」、「狭量化」を乗り越えるべきと考えている方も歓迎します。専門ジャンルの経験を重ねてきた方の例としては、不競法の訴訟経験豊富な方や役員・会社と株主間の訴訟経験豊富な方などが挙げられます。とはいえこれらの事件に特化して担当していただくことを期待して採用するわけではありません。今後当事務所において予想される事件ジャンルの拡大や新ジャンルの開拓などの組織戦略と応募者の方の指向性との擦り合わせを行って採否を決定しています。
私達は、常に一人一人の弁護士にゼネラリストであることを要求しています。広い裾野を持つことなしに本当の専門性を獲得することはできないと考えるからです。かかる方向性を持って仕事に邁進したいと決意している方を、我々は歓迎します。
当事務所の弁護士は、例えば著作権の論文の執筆や講演に奔走するかたわら、株主総会の指導や被疑者との接見、家事事件の調停等に出向きます。これが、当事務所の弁護士の普通の活動スタイルです。
この点は、専門性に関する当事務所の基本的な考え方に基づきます。その背後にある考えの一端は、O-c「専門性の意味」をご覧下さい。
なお、通常2回以上の面接を行っています。また、中途入所のタイミングは、随時ですが、多くの先例は4月または10月です。なお、応募・登録の手続もご参照下さい。
覚悟なきものは近付くなかれ
当サイトを読んでお判りのように、私達は、事務所が明るいとか、仲良しだとか、楽しいとかを全く「売り」にしていません。それは、蜜の香りを撒くことに、このサイトの目的がないからです。むしろ茨の道を通ってこそ個々の事件の困難な局面を打開できることが少なくない弁護士という職業にふさわしい担い手を集めようとすれば、「どうぞいらっしゃい」ではなく、「覚悟なき者は近付くな」こそ必要だと考えているからです。
おかげで、募集者の数を絞り込むことがある程度実現できました。また応募者の多くが有為の方です。その全ての人に対して採用の枠を拡大しえない、我々の非力を毎年痛感します。しかし、堅実な成長もまた、当事務所の基本であることをご理解下さい。