judgment / book
 
[書 評]
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斎藤 博著「著作権法」(有斐閣)
[2000.3.30発行 定価3800円]
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 ここ数年、著作権法の改正が小刻みに続けられてきた。デジタルとネットワークに関する規定を中心にしており、いうまでもなく、いずれも重要な改正である。
 かくして、著作権制度の理解は、昭和45年以来の規定に関するものだけでは用をなさなくなりつつある。このことは言うまでもない。が、さりとて改正された先端的な部分の知識だけで、とかく著作権の基本と関連付けることをおろそかにすると、今日のデジタル社会の著作権問題への対処を誤ることになりかねない、そういう現況に私たちはいる。
 それゆえ、著作権法を、最もスタンダードなところから先端まで解き明かす一貫性ある解説書の出現が望まれていた。本書は、この要請を満たすものである。
 著者は、あらためてご紹介するまでもなく、著作権法学会の会長であり、専修大学の教授である。前任の筑波大学、その前の新潟大学時代から、文化庁の著作権審議会委員などの要職を歴任され、またARAI JAPANの責任者として著作権法の国際的な情報交換とハーモナイゼーションの動きにも関与しておられる。その意味では、本書の中に、活字にしうる最新の著作権情報が詰まっているのは当然といえるかもしれない。
 中でも注目したいのは、「『電子的』」利用許諾」と、「権利の管理」の章である。併せて30ページであるが、示唆に富むものである。この点だけを、何らかの形で集中的に展開されないものかと、期待させる。
 著作者、著作物の受け手について、コンピューター上では、いずれも通常は追跡可能であるが、表現の自由や、内心ないし思想の自由という観点からすると、このような追跡を遮断することを念頭に置きながら、許諾や管理の問題が考えられていかなければならないというのが私自身の問題意識である。そのような、いわば横道からの問題意識を持つ者にとっても本書が示唆に富んでいるのは、いずれの論旨も深い分析に立っているからであろう。ぜひとも手元に置き、繰り返し読むべき一冊である。

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