concept

line
 収入共同型
line

 収入共同型の概念を要約すれば、業務から生ずる全ての収入を共通の財布に入れ、経営主体となる弁護士の協議に基づき、業務に関する使途=支出を(通常は予算制により)決定して支弁する方式である。
 といっても、収入が本源的には個人に由来するものであることを否定すべきではない。それどころか、これを正視することこそがきわめて重要である、と言っておこう。なぜなら、これを無視する共同法律事務所構想は、詳細な説明をここでは略すが、現実がこれを許さないからである。
 そうすると、ここにいう収入を共通の財布に入れるということと、経費共同における個人の財布から経費を取り出すということとは、一本の棒を各々反対の一端から表現したものに過ぎないようにみえるかもしれない。が、そう考えて思考を止めるのは、形式論理に呪縛された判断である。
 両者は経費概念からして異なる。収入共同にあっては、各自の受ける所得もまた内部的には経費とみるからである。すなわち、収入共同型では、予算決定(実際には、その基礎となる報酬配分に関する内部ルール)を通して、収入の少ない者が収入の多い者の所得についても制約しうることを経費概念の射程に入れる。収入共同の複数経営者は、相互にこの仕組みを容認して事務所を経営しなければならないのである。
 そのためには、お互いがなんのために共同するかという事務所の存在意義に関する一定の合意が不可欠である。このとき、収入が本源的に個人に由来するものであるという事実は、その具体化たる内部ルールにおいて、決して無視しうるものではないばかりか、むしろこれを正面から認識し、ルールに反映させなければならない。これを抽象的理念に解消しないで、いわば台所の問題を踏まえたルールの合理性を追及することが必要なのである。
 経済合理性なかんずく収益をいかに上げるかという観点に特化すれば、この合意は容易になる。しかし、いうまでもなく、ここにおける合理性とは、経済合理性のみならず、(事務所という)結合した弁護士の仕事が、いかにして、かつ持続的にどのような社会価値を生み出すか、そもそも法律事務所がいかなる社会的存在であるべきか等を踏まえた合理性のことである。
 

line