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 司法改革の論議と一般民事事件軽視の傾向
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 司法改革の論議で軽視されつつあるのが、一般民事事件である。
 弁護士の専門性を求める声とともに、一般民事事件を手際よく処理する弁護士の存在の必要性は益々増加している。一般民事事件を軽視してはならない理由の一つは、専門性を求める社会の現実が、専門性のみを求めてはいないからである。
 しかしそれ以上に私たちが一般民事事件の重要性を強調する理由は、一般民事事件を貫く市民法原理の実現が、弁護士の重要な責務のひとつだからである。
 極めて残念なことに、旧来の企業法務の理論や実務は、営利の追求と言う企業の当然の目的の前に萎縮し、コンプライアンスやコーポレートガヴァナンスの軽視に傾いていた。
 しかし、営利を追求しない企業が、現実によってその存立を許されなくなるのと同様に、適法性にもとる企業の存立が社会から許されなくなるのは必然である。弁護士は、営利追求と適法執行との両立に関してもっと早くからその使命を果たすべきであった。
 我々は企業にかかわる法律分野を取引法ジャンル、組織法ジャンル等として分析し、それらを市民法原理に深く通底させ、そのうえに各ジャンル固有の取引の安全性・反復性・技術性等を位置付けることを早くからの視座としてきた。企業の適法執行の思想は、海の向こうから指摘されて初めてその都度「気付く」のではなく、根底にある原理に根ざしすことを日々追求し実現するものでなければならない。そうでないなら、いつまでも状況の後追いを繰返す他ない。
 

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