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【事件名】ニフティへの発信者情報開示請求事件B
【年月日】令和元年5月17日
 東京地裁 平成31年(ワ)第6060号 発信者情報開示請求事件
 (口頭弁論終結日 平成31年4月17日)

判決
原告 創価学会
同訴訟代理人弁護士 西口伸良
同 堀田正明
同 甲斐伸明
同 大原良明
被告 ニフティ株式会社
同訴訟代理人弁護士 村島俊宏
同 穂積伸一
同 谷口悠樹
同 工藤友良


主文
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 主文同旨
第2 事案の概要
1 本件は、原告が、経由プロバイダである被告に対し、氏名不詳者らが、インターネット上のウェブサイトに原告が著作権を有する写真を掲載し、原告の公衆送信権を侵害したことが明らかであるとして、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、当該著作権侵害行為に係る別紙発信者情報目録記載の発信者情報の開示を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実。なお、本判決を通じ、証拠を摘示する場合には、特に断らない限り、枝番を含むものとする。)
(1)当事者
ア 原告は、宗教法人法に基づいて設立された宗教法人である。
イ 被告は、電気通信事業を営む株式会社である。
(2)本件写真
 別紙写真目録の写真(以下「本件写真」という。)は、平成30年8月22日付け聖教新聞に掲載された写真である。(甲7)
(3)氏名不詳者の行為
 氏名不詳者ら(以下「本件発信者ら」という。)は、別紙投稿記事目録の投稿日時欄記載の日時に、インターネット上のレンタル掲示板サービス「teacup.」に、同目録記載の各記事(以下「本件各記事」という。)を投稿した。本件各記事には、いずれも本件写真と同じ場面の写真(以下「本件各投稿写真」という。)が掲載されている。(甲1)
 本件各記事の投稿は、被告の提供するインターネット接続サービスを介して行われた。(甲3〜5)
3 争点
(1)本件写真が著作物に当たるか(争点1)
(2)原告は本件写真の著作権者かどうか(争点2)
(3)本件各投稿写真は本件写真を複製したものか(争点3)
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点1(本件写真が著作物に当たるか)について
〔原告の主張〕
 本件写真は、聖教新聞社報道局の職員であったA(以下「A」という。)が、創価学会甲地研修道場に赴き、原告のB名誉会長夫妻が原告会員を激励している様子を撮影した写真である。Aは、同夫妻の激励と同夫妻を拍手で歓迎する信越地方の会員の歓喜の笑顔を捉え、その感動の様子が全国の当会会員にも伝わるようにと、カメラマンとしての経験を活かし、撮影方向、構図、シャッタースピード、タイミング、絞りなどに工夫を凝らし、的確なタイミングを捉えて本件写真を撮影したものであるから、本件写真は、Aの思想、感情が表現された創作性を有する著作物である。
〔被告の主張〕
 本件写真は、建物入口前に多数の人々が並び、その手前に自動車に乗った3人の人物がいるという状況を撮影しただけ、すなわち、単なるカメラの機械的作用によって被写体が記録されただけのものであり、撮影者の創意工夫は全く認められないから、著作物に当たらない。
2 争点2(原告は本件写真の著作権者かどうか)について
〔原告の主張〕
 本件写真は、争点1で主張したとおり、原告に雇用され、原告の聖教新聞社報道局の職員であったAが、平成30年8月6日、勤務時間中に、原告の業務として、前記の原告施設である創価学会甲地研修道場に赴き、原告のB名誉会長と同夫人が原告会員を激励している様子を撮影したものである。そして、本件写真は、聖教新聞社が同月22日付けで発行した聖教新聞に原告名義で公表されたが、聖教新聞社は、原告の就業規則及び同新聞社管理運営規定に基づいて運営されており、原告の一事業部門に当たる。
 そうすると、本件写真は、原告の発意に基づき原告の業務に従事する者が職務上作成する著作物であり、原告が自己の著作の名義の下に公表するものであるから、原告が著作者としてその著作権を有する。
 なお、原告の就業規則には、職員が職務上作成した著作物の著作権は原告に帰属すると規定されており、同規定によっても、原告が、本件写真の著作権者である。
〔被告の主張〕
 原告が提出する聖教新聞の写し(甲7)を見ても、その著作名義は示されていない。また、その余の原告主張事実を裏付ける客観的証拠も提出されていない。
2 争点3(本件各投稿写真は本件写真を複製したものか)について
〔原告の主張〕
 本件各投稿写真は、人物の姿勢、表情、服装、背景、撮影アングルなど明らかに本件写真と同一性が認められ、その内容及び形式を覚知させるに足り、かつ、その部分に創作性を看取することができるから、本件写真の複製である。
〔被告の主張〕
 原告の主張は、要するに、本件各投稿写真と本件写真とを見比べると似ているというにすぎない。
第4 当裁判所の判断
1 争点1(本件写真が著作物に当たるか)について
 前提事実及び証拠(甲7、8)によれば、本件写真は、原告の名誉会長夫妻が、原告の施設に赴いた際、数十名の原告会員らが、同施設前において、同夫妻らに拍手をし、同夫妻らが、これに車中から応じる場面を撮影した報道写真である。同写真は、時間的に動きがあり、空間的にも広がりがある場面を効果的に表現するため、撮影のアングル、シャッタースピード、タイミング、絞りなどにおいて工夫がされていると認められる。
 そうすると、本件写真は、撮影者の個性が現れ、撮影者の思想又は感情を創作的に表現した著作物に当たるというべきである。
2 争点2(原告は本件写真の著作権者かどうか)について
 前提事実及び証拠(甲8)によれば、原告の聖教新聞社(原告の機関紙等の出版等の収益事業を行う部門)の職員であったAが、原告の業務として本件写真を撮影したこと、本件写真は、聖教新聞社が平成30年8月22日付けで発行した聖教新聞のB名義のコラム上に掲載されたが、原告の就業規則には「職員が職務上の行為として著作した著作物の著作権は、法人に帰属する。」と規定されていることが認められる。
 そうすると、本件写真は、原告の「職員が職務上の行為として著作した著作物」として、原告が、その著作権を有すると認めるのが相当である。
3 争点3(本件各投稿写真は本件写真を複製したものか)について
 本件写真(甲6、7)と本件各投稿写真(甲1の1・2)を比較すると、原告名誉会長夫妻及び会員の配置、姿勢、背景、色彩、撮影アングルなどにおいて同一であるということができ、本件各投稿写真は本件写真を複製したものということができる。
4 結論
 以上によれば、本件発信者らが、本件各記事に本件各投稿写真を掲載したことにより、原告の著作権(送信可能化権)が侵害されたことが明らかであるから、原告は、本件発信者らに対して著作権(送信可能化権)侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権等を有し、その権利を行使するため、本件発信者情報の開示が必要である。
 よって、本訴請求はいずれも理由があるから、これらを認容することとし、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第40部
 裁判長裁判官 佐藤達文
 裁判官 吉野俊太郎
 裁判官 今野智紀


(別紙)発信者情報目録
 別紙投稿記事目録記載の記事(以下「侵害情報」という)に関する以下の情報
1 発信者その他侵害情報の送信に係る者の氏名又は名称
2 発信者その他侵害情報の送信に係る者の住所
3 発信者の電子メールアドレス(電子メールの利用者を識別するための文字、番号、記号その他の符号)

(別紙)投稿記事目録
1 閲覧用URL
 http://(URLは省略)
投稿日時
 2018年8月23日9時07分50秒
投稿時IPアドレス
 218.185.148.253
タイトル
 わけあって絶滅しました。
投稿者
 SaySaySay
投稿内容
 昨日の写真がどうも臭いと思っていたら、やはり……『科捜研の女』に調べさせろ!沢口靖子を呼べ!
 ツイッターより。
 >これは本当に奥様なんですか?先生なんですか?カメラはどこにピントが合っているかもわからない。先生、奥様が通られたらこうしなさいって練習してる一幕?強烈な違和感しかないですが、なぜもう少しハッキリ撮らないの?会員が心配するで!<
 >なぜ車の天井に樹木が映り込んでるのか?とか、フロントガラス部と映り込んだ人物と思われる影の位置関係がチョー不自然とか、バンパー手前・奥側のピントと会員のピントがありえない状態だとか…そんなコト、僕は言いませんよ…もう一つだけ言うと、写真に映っている会員の目線は、全員が車の後ろの兄ちゃん辺りに向いてます。先生にゃ向いてません<
 >第一警備のT石さんの方ですね(苦笑)そもそも現在の御健康状態で先生御自身がこの様に大勢の会員さんの前に出られるのを望んでおられたのか?かつての先生のお考えからしたら有り得ない。<
 >なんか奥様が?どうもわからないけど別人にしか見えない<
 >2010年6月以降今回の様な、偽造写真疑惑は何度もありました。あくまで疑惑ですが(苦笑)いずれにせよ聖教新聞の写真技術レベルは下手くそですよ(笑)と言ってレベルが高い外注は情報漏洩の危険があるので出来ない。<
 >ざっくり言えば、「現在の創価学会組織の運営手法、活動形態、会内の空気は以前とは異質なものになってきている」もっと言えば「自壊しつつある」ように感じるのですが、会員の方々には先生がお元気な頃に培った物事の見方があり、それによるが故に、また正常性バイアスが働くことにより、「学会は未来までも磐石」的な感覚なのかなと思います。
 実際は災害級の危険な状態で、一旦、組織から距離を置きじっくりと自分の頭で考える方が正常だと思うのですが。
 今回の写真も脳内の「お元気な先生」を前提で見れば、やはり「お元気な先生」を拝して下半期のスタート!ということになるのでしょうね。
 でも、私としては「先生を隠す」にも怒りだけど、「先生を利用する」には更なる怒りがわいてきます。<
 『わけあって絶滅しました。』という本を偶然、発見。第2版に乙地が載りませんように。

2 閲覧用URL
 http://(URLは省略)
投稿日時
 2018年8月24日10時07分06秒
投稿時IPアドレス
 218.185.148.250
タイトル
 不都合な真実2
投稿者
 SaySaySay
投稿内容
 >告訴状では、学会の名称入り提灯が陳列されることは、「謗法厳誡」を旨とする学会が謗法を容認したとの印象を与えるものであり、学会の名誉を毀損すると指摘←ここ非常に重要ですね!靖国神社への献灯は謗法であると認めました!この程度のことは問題ないとかどうでもいいと言ってた学会員は猛省を!!<
 >本部が訴えたので、丙地活動家も、ホントの話だと、180度かわるのだ!ネットは疑うが上が表名すれば信じる浅はかさ<このツイートの通り、【靖国奉納提灯事件】は組織・幹部の劣化を事実としてあぶり出した。まず彼らの質が問われることになる。なぜこんな組織になったのか?こんなのでSGは今後も生き残れるのか?民衆は愚かじゃない。Cの『不都合な真実2』を観て、もう一度、勇気を取り戻した。
  「権力へ真実を突きつけよう」
  「リーダーが先頭に立たないなら市民が立つ」
  「政権は関係ない 我々は進む」
  「誰でも参画するのは可能だ 何千人もの人を教育した」
  「さらに大勢が後に続こうとしている」
 地涌のツイッターには鋭い人がたくさん居ます。随筆・甲地写真疑惑は彼らから知りました。鋭いツッコミはこれです。
 >なぜ車の天井に樹木が映り込んでるのか?<
 車の上には屋根がありますよね!
 さらに、鋭いツイートたち。
 >2010年以前の聖教新聞は師匠B先生の動向は関係者やお会いした方に支障がない限り翌日には昨日の先生はこうだったよと言わんばかりの歓びを持って報じられていた、しかし今は6日の丁地の写真が本日掲載。どの写真をいつどのように使うかを執行部が慎重に議論して決めている様が浮かんでくる。<
 そうです。「空白の半月」です。以前なら有り得ない空白です。
 これも書き足しておきましょう。
 >おそらく編集しているのでしょうね(笑)現在の聖教のレベルでは時間がかかります(爆笑)<
 >外注して違和感ない画像を掲載したいが、それも出来ず。<
 >とても画像会には入れませんね(笑)<
 >仕事のできる新規会員、募集中で〜す!(笑)オボン塾を設立しま〜ス(笑)<
 「誰でも参画するのは可能だ 何千人もの人を教育した」「さらに大勢が後に続こうとしている」

(別紙)写真目録
 写真添付は省略
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