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【事件名】「キャンディ・キャンディ」事件(アドワーク)(3)
【年月日】平成13年10月25日
 最高裁(一小) 平成12年(受)第798号 出版差止等請求事件
 (原審・東京高裁平成11年(ネ)第1602号)


主文
 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人の負担とする。

理由
 上告代理人西村國彦、同奈良次郎、同松村昌人、同上田直樹、同望月賢司及び上告代理人花岡巖、同唐澤貴夫、同本橋光一郎、同小川昌宏、同下田俊夫の各上告受理申立て理由について
 原審の適法に確定したところによれば、本件連載漫画は、被上告人が各回ごとの具体的なストーリーを創作し、これを400字詰め原稿用紙30枚から50枚程度の小説形式の原稿にし、上告人において、漫画化に当たって使用できないと思われる部分を除き、おおむねその原稿に依拠して漫画を作成するという手順を繰り返すことにより制作されたというのである。この事実関係によれば、本件連載漫画は被上告人作成の原稿を原著作物とする二次的著作物であるということができるから、被上告人は、本件連載漫画について原著作者の権利を有するものというべきである。そして、二次的著作物である本件連載漫画の利用に関し、原著作物の著作者である被上告人は本件連載漫画の著作者である上告人が有するものと同一の種類の権利を専有し、上告人の権利と被上告人の権利とが併存することになるのであるから、上告人の権利は上告人と被上告人の合意によらなければ行使することができないと解される。したがって、被上告人は、上告人が本件連載漫画の主人公キャンディを描いた本件原画を合意によることなく作成し、複製し、又は配布することの差止めを求めることができるというべきである。
 以上によれば、被上告人が本件連載漫画の一部である本件コマ絵及び本件連載漫画の主人公キャンディの絵の複製である本件表紙絵につき原著作者の権利を有することの確認と、本件原画を作成し、複製し、又は配布することの差止めを求める被上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断は、正当として是認することができる。上記判断は、所論引用の判例に抵触するものではない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

裁判長裁判官 井嶋一友
裁判官 藤井正雄
裁判官 町田顯
裁判官 深澤武久
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