判例全文 line
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【事件名】「ウォール・ストリート・ジャーナル」事件
【年月日】平成5年8月30日
 東京地裁 平成3年(モ)第6310号 著作権仮処分異議事件

決定
債権者 ダウ・ジョーンズ・アンド・カンパニー・インク
右代表者 X
右訴訟代理人弁護士 内田晴康
右訴訟復代理人弁護士 末吉亙
同 桑原聡子
債務者 株式会社ノウハウジャパン
右代表者代表取締役 Y
右訴訟代理人弁護士 内田実
同 椙山敬士


主文
1 債権者と債務者間の東京地方裁判所平成2年ヨ第2550号著作権仮処分事件について、当裁判所が平成3年9月24日にした仮処分決定を、別紙(1)のとおり、変更する。
2 訴訟費用は債務者の負担とする。

事実
第1 債務者の申立ての趣旨
一 債権者と債務者間の東京地方裁判所平成2年ヨ第2550号著作権仮処分事件について、当裁判所が平成3年9月24日にした仮処分決定を取り消す。
二 債権者の本件仮処分申立てを却下する。
三 訴訟費用は債権者の負担とする。
第2 事案の概要
一 本件は、米国において英語の日刊新聞「THE WALL STREET JOURNAL」(債権者新聞)を発行する債権者が、日本において「全記事抄訳サービス」と称して、右新聞の記事を抄訳した文書(債務者文書)を作成・頒布する債務者に対し、債務者文書の作成・頒布は債権者の右新聞について有する編集著作権を侵害するものであるとして、その作成・頒布の差止めの仮処分を申し立てたところ、これを認容する仮処分決定(本件仮処分命令)がなされたため、その取消し等を求めた仮処分異議事件である。
二 債権者の主張
1 債権者がこれまで発行してきた債権者新聞、及び将来発行する債権者新聞は、いずれも編集著作物である。
(一)債権者の発行する債権者新聞は、特定の日付けの紙面全体が、素材の選択及び配列に創作性のある編集著作物である。
 債権者新聞は、世界中で生起するさまざまな出来事(素材)の中から、経済ニュースを中心に、報道する価値の認め得るものが選択され、更に内容及び重要度の分析に基づき、速報性の高い経済ニュース、速報性の低い経済ニュース、特集記事、国際ニュース、政治ニュース、レジャー関連記事、社説、投資情報、相場表などのカテゴリーに分類され、その分類に従って、紙面に割り付けがなされるから、特定の日付けの新聞紙面全体として編集著作物に該当することが明らかである。
(二)将来発行される債権者新聞も、編集著作物となるものである。
 債権者は、1889年以来、組織を整備拡充し、世界的規模でニュースソースを収集し、これを的確に伝達できるための体制を構築しつつ、継続して債権者新聞を発行してきたのであり、将来もこれを継続するものである。したがって、債権者新聞が、将来においても反復継続して発行される蓋然性は極めて高い。そして、債権者が、これまで確立してきた記事の収集、選択及び配列の手法に依拠し、債権者新聞を発行する限り、素材の選択及び配列に創作性のない紙面ができることなどありえないから、将来発行される債権者新聞も全体について編集著作物性を当然有するものである。
(三)右のとおり、債権者がこれまで発行してきた債権者新聞、また将来発行するであろう債権者新聞は、いずれも編集著作物に該当するものである。
2 これまで発行してきた、また将来発行するであろう債権者新聞の編集著作権は、債権者の発意に基づき、その従業員が職務上作成し、債権者の名義のもとに公表するものであるから、債権者に帰属するものである。
3 債務者は、債権者が編集著作権を有する債権者新聞を勝手に翻案し、その編集著作権を侵害している。
(一)債務者は、特定の日付けの債権者新聞のほとんど全ての文章記事について、その一部又は全部を翻訳し、また要約し、これを債権者新聞の紙面における記事の割付順序とほとんど一致するように配列し、当該日付けの記事が一覧することができる債務者文書を作成している。
(二)かかる債務者の行為は、債権者新聞の文章記事を利用して文書を作成している点において債権者新聞における素材の選択の創作性を利用するものであり、また債権者新聞の記事の分類に従って記事の分類のための表題まで付して配列している点において債権者新聞における素材の配列の創作性を利用するものであるから、編集著作権の侵害に該当することは明らかである。
(三)かかる債務者の著作権侵害行為は将来も継続して行われる蓋然性が極めて高い。債務者は、これまで4年以上にわたって、全ての発行日の債権者新聞について、その素材の選択及び配列の創作性を利用する行為を反復継続してきており、今後も継続する意向を表明しているから、債権者が将来発行するであろう債権者新聞についても同様に編集著作権侵害行為をする蓋然性が極めて高いというべきである。
4 保全の必要性
(一)債務者の前記侵害行為は、債権者の従業員である記者及び編集担当者の汗の結晶として集大成された編集著作物である新聞の価値を、翻訳家を雇って抄訳等をさせ、これをワードプロセッサーで打ち込んでファクシミリで送付するという極めて安易な方法によるものであり、かかる行為が放置されるならば、新聞業界全体に大きな影響を与えることになる。
(二)債務者は、債権者からの昭和63年4月頃からの再三の中止の申入れにもかかわらず、侵害行為を止めない。
(三)また将来発行されるであろう債権者新聞についても債務者により同様の侵害行為がなされる蓋然性は極めて高く、この侵害行為に対する差止めが認められないと債権者は既に発行された分についてのみ日々差止請求訴訟を提起せざるを得ないという不合理な事態に陥るから、将来成立する高度の蓋然性を有する著作権に基づいて、これに対する将来の侵害行為の差止めが認められる必要がある。
三 債務者の主張
1(一)憲法21条の表現の自由は、今日においては、単に情報の発信の自由であるだけでなく、情報の受け手の知る権利をも保障するものであり、特に時事に関する情報の流通は民主制にとって不可欠である。情報の自由な流通に関する制約の一つとして著作権制度があり、著作者に対し創作への報償として一定の権利を付与するが、情報の過度の独占は文化の発展を阻害するものであるから、著作権法の目的は、創作への報償と情報の自由流通の間に適切なバランスを取ることにある。
(二)事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は言語の著作物に該当しない旨を規定した著作権法10条2項は、情報ことに時事に関する情報は民主制の基盤として最も重要なものであるから、このような憲法の表現の自由に由来する重大な要請のために著作権は一定程度道を譲るべきことを宣言した規定と解すべきである。
(三)ECのデータベースの保護に関する指令案によると、要旨や要約であっても、原著作物自体を代替しなければ、許諾なしで、データベースに編入しうることを認めており、この考え方は、電子的手段によらない編集物についても当然適用できるものである。すなわち、電子的編集物は非電子的編集物に比べ記憶容量が大きく、利用も迅速、容易、広範であり、素材の提供者に対する影響も格段に大きいのであるから、このような電子的編集物への編入が許容される以上、原著作物自体を代替しないという条件を満たす限り、電子的編集物より弱い編集物である非電子的編集物への編入は勿論解釈として許容されるのである。そして、このデータベース又は非電子的編集物に編入される著作物は、個別の著作物に限られず、編集著作物も含まれるのであり、またこの編入される編集著作物の素材が要旨で代替しえない以上、編集著作物自体も代替しえないと考えるべきである。編集著作物が代替されるのは、素材が代替される場合だけである。
 本件において、債権者新聞の各記事に対応する債務者文書の各記述は最小限の要旨であり、これにより債権者新聞の個々の記事についても、全体についても代替しうるものでないから、これらを非電子的編集物である債務者文書に編入することは当然許容されるものである。
(四)編集著作物は、与えられた素材を選択・配列するという、それ自体では創作性の発揮しにくい行為を根拠とするから、その保護も弱くならざるをえない。
 本件において、1日分の新聞の編集著作権を考えるについては、個々の記事を既存の所与の素材として考えなければならないし、素材の選択・配列行為があっただけでは足りず、これに創作性がなければならないものである。素材の選択・配列行為は、元来従属的で創作性を発揮しにくいものであるから、安易に著作物性が認められてはならないし、仮に編集著作物性が認められる場合であっても強い保護を認めるべきではない。そして、新聞においては、素材の特性から、事実自体の独占につながらないように格別の配慮が必要である。
(五)編集著作権は特定レベルの素材を前提に、その選択・配列の創作性によってかろうじて成立する微妙な権利である。素材の表現が異なれば、素材に依存する編集著作物の表現も異ならざるを得ない。素材の表現レベルを無視し抽象的な選択・配列だけを取り上げて、編集著作物の表現を問擬することは誤りである。
 本件においては、言語表現としての素材のレベルは全く異っており、債権者新聞の各記事とこれに対応する債務者文書における文章とは、複製や翻案という著作権侵害関係に立たない。このような場合には、編集物全体としての表現も全く異なるものであるから、編集著作権の侵害関係には立たないというべきである。
(六)債権者は、将来にわたり発行される債権者新聞についての編集著作権に基づく差止めを求めている。これは人間精神の所産である著作物を現に生み出したことにより、これに対する報償として与えられる著作権を、未だ生み出されていない段階で認めるものであり、著作権法の基本を覆すものである。著作物の存在しない、その内容さえわからない段階で著作物としての保護が与えられる等、著作権法上考えられないことである。小説のような著作物の内容が作者の頭の中にあるだけでは保護の対象とならないことはいうまでもないが、まして本件の場合には、将来の新聞の紙面がどのようなものになるかは誰にも、将来発行しようとする者にも、分からないのであり、いわば作者の頭の中にすら著作物の内容が存在しないのであるから、将来発行される債権者新聞についての編集著作権に基づく差止請求は全く理由がないというべきである。
(七)債務者は、予備的に、次のとおり、債務者文書が公正利用として許容される旨を主張する。
 著作権法は、1条において、著作権法の目的につき「これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ」と規定し、また30条以下において、教育目的その他異なる文化、社会的な価値がある場合に、一定の条件下で定型的に著作権が制限されることを規定しているので、これらの規定を合わせ考えれば、我が国においても公正利用の法理が認められるべきである。
 本件において、具体的に分析検討すると、次のとおりであるから、債務者文書は、少なくとも公正利用として許容される。
(1)本件での使用目的は、日本人読者が債権者の報道するニュースへのアクセスを可能にするため、要旨又はそれ以下の情報を記載することにあるから、商業性はあるけれども、公共的意義もあるのである。
(2)債権者新聞は、ニュース報道を主目的とした新聞であるから、民主社会に〈「お」が脱落?〉いては、公共的使命を帯びたものであり、情報の自由流通という重大な要請を有している。
(3)債権者新聞と債務者文書を比較すると、債務者文書は債権者新聞の僅か1.2パーセントしか使用しておらず、量的に僅少である。
(4)債権者新聞は、日本人読者にとっては、よほどの語学力と時間がなければ読みこなすことは不可能といってよいが、債務者文書により、債権者新聞の記事の検索が短時間で可能となり、これがより身近なものとなるから、購入者はむしろ増えると考えられ、市場へのマイナス影響はない。
2 本件仮処分命令について
(一)本件仮処分命令は、債権者の著作物の特定として、何年も続く新聞を指すのか、1日分の新聞を指すのか、1個の記事についての著作物を指すのか、それらの編集著作物を指すのか不明であって、著作物の特定として極めて不十分である。著作権は著作物毎に成立する権利であり、また個々の記事についての著作物とこれらを要素とする編集著作物とは別個であるから、これらの特定が十分になされなければならないのである。
(二)本件仮処分命令は、作成頒布の差止めの対象の文書として「別紙著作物目録〈「記載の著作物」が脱落〉の〈「うち」が脱落〉一の発行日に発行されたものの記事の全部を翻訳し、又は各記事の要約を翻訳したものとして」と表現しているが、この末尾の「ものとして」の言葉は全く意味不明である。本来、作成・頒布の差止めの対象物になるかどうかは客観的に判断されるべきものであり、「全文訳」又は「要約の翻訳」に当たるかどうかは、「全文訳として」又は「要約の翻訳として」表示しているかどうかとは全く関係がない事柄である。また、「として」の表現が販売方法を指すとすれば、著作権法に規定されていない法理を用いていることになり、審理の対象を逸脱しているものである。
(三)本件仮処分命令は、作成頒布の差止めの対象の文書の特定として「1項目1行ないし3行程度の日本語の記事」と表現しているが、この程度の要旨が著作権を侵害するとするものであれば、従来の学説及び社会慣行に明らかに反している。仮に、実際は要旨の翻訳であっても「要約の翻訳として1ないし3行程度の日本語の記事」にすることがいけないという趣旨であれば、債務者は債務者文書を要約の翻訳として提供しているものではなく、要旨として提供しているものである。
 なお、要約が1ないし3行になってしまうのであれば、原文自体の著作物性が否定される。
(四)本件仮処分命令の「……の記事を掲載し、これを……その他の項目に分類して配列した文書」という表現も、1ないし3行の記事を掲載すること自体が差し止められているのか、分類・配列したものが対象とされているのか明らかでなく、意味不明である。
(五)本件仮処分命令には何ら理由が付されていない。本件については債務者が正面から争っているにもかかわらず、理由が付されていないため、前記のような主文のあいまいさとあいまって、説得力を欠くだけでなく、裁判の公正さも担保されない。
(六) 本件仮処分命令が出された背景には、債務者が他人の労働の成果にフリーライドしているとの考え方が潜んでいるものと思われる。しかし、債権者は、英語の新聞を発行していただけであり、日本語版を出すとか、日本語の索引を作成する等の便宜を一切提供していないため、多くの日本人にとって債権者の情報の伝達が閉ざされていたところ、債務者は、債権者の提供する情報に対するアクセスを与えたにすぎないものであり、これだけでは債権者の情報は伝達されないし、また債権者の債権者新聞が売れなくなるわけでもない。著作権法が時事報道について特別の規定を設けている意義や法解釈として「要旨」記載が許容されている意義が考慮されなければならない。
3 本件仮処分命令が出されるまでの手続が著しく公正を欠くものである。
 すなわち、本件は、2年近くの間、審尋期日が重ねられ、最終の審尋期日では、双方の主張が尽きたことが確認されたうえ、「次回期日は追って指定する。口頭弁論を開く可能性もある。」とされたものである。ところが、その後債権者は、3回にわたり主張を追加し、2回にわたり「申請の趣旨」を変更したにもかかわらず、裁判所は、債務者に何らの反論をさせずに、最終の申請の趣旨の変更から1週間もたたないうちに本件仮処分命令を出したものであって、このような手続は、著しく公正を欠き、裁判所に対する信頼を損ねるものである。
4 以上のとおりであるから、本件仮処分命令は取り消されるとともに、本件仮処分命令申立ては却下されるべきである。

理由
一1 疎甲第1ないし第14号証、第20ないし第28号証、第30、第33、第47、第48号証並びに弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。
(一)債権者は、米国ニューヨーク州に本社を有し、ビジネス専門紙や20紙を超える地方新聞を発行し、また各種メディアを使用した情報の提供サービス等を行っている会社であって、1987年度には、年間売上高13億ドル、従業員数9000名に及び、またフォーチュン誌の選ぶ500社ランキング中の264位にランクされている。
(二)債権者の発行する債権者新聞は、1889年に創刊されて以来継続して発行され、1日の発行部数が200万部を超える米国最大の日刊紙であって、債権者は、債権者新聞を発行するため、600名を超える記者及び編集者を取材活動等に従事させている。
 債権者は、従来から、スポーツ記事や犯罪記事のような一般社会記事を掲載しない、情報の背後にある数字や事実を分析し解説することを重視する、できるだけ多くの情報を提供するため写真を使用しない、大字化はしない等の一定の編集方針を堅持し、この編集方針の下に経済記事を中心とした債権者新聞を発行し、多くの国で頒布している。
(三)債権者の従業員である記者は、電話及び面接取材、記者会見、資料調査等によって情報を収集したうえ、原稿を作成し、担当局長や地方支局長による見直し、添削等のチェックを経て、この原稿を債権者のニューヨークのウォール・ストリート・ジャーナル・ニュース局に送付する。同局では、記者発送コードに従い、国内ニュース、第1面、第2部第1面、海外、金融、収益又は社説等の部署に分けられ、債権者の従業員である各部署のニュース編集者は送られてきた原稿の採否を決定するとともに、正確性、明確性及び体裁のチェックをし、時には原稿を書き直すこともある。
(四)1日分の債権者新聞は、A2判数十頁で構成され、その中には数百に及ぶ記事、社説、株式相場や先物取引相場等の各種相場表、広告等が掲載され、その中では、原稿に基づいた報道記事、社説が主要な部分を占めている。例えば、債権者新聞の1989年9月28日版(疎甲第8号証)は、A1ないしA26頁、B1ないしB8頁、C1ないしC28頁の合計62頁で構成され、その中には、150以上の記事・解説が掲載されている。
 債権者新聞の第1頁の第2、第3段には「What's News―」と題し、その日の主要ニュースが、「Business and Finance」欄と「World-Wide」欄に分かれて、大半は5行程度に要約されて掲載されている。
(五)債務者は、昭和61年9月1日から、「アメリカを読む研究会」との名称で、債権者新聞が発行される毎に、直ちに債権者新聞の記事を抄訳した後記のような債務者文書を作成し、月額3万円及び通信費の会費、又は100字当たり1000円の料金と通信実費などの費用で、これを郵便又はファクシミリで右研究会の会員に送付している。その会員数は、昭和63年11月8日現在で20名以上に及んでいる。また、債務者は、債務者文書等の作成・送付のサービスについて、「全記事完全抄訳サービス」と称するとともに、「全記事完全網羅」「その日の記事が一目瞭然」「取捨選択することなく全記事を細大もらさず取りあげています」との内容の広告を雑誌・新聞に掲載するなどして宣伝している。
(六)債務者文書は、例えば別紙(2)のような形式で、「ウォール・ストリート・ジャーナル 89年9月28日木曜日」のように、その表題に債権者新聞の名称、日付け及び曜日を取り入れたものであって、特定日付けの債権者新聞に関するものであることが明らかとなっている。
 債務者文書には、特定日付けの債権者新聞の記事の全部又は一部が1行当たり約34字で1行ないし3行程度の日本語に訳され、「主要経済ニュース」「主要国際ニュース(又は主要一般ニュース)」「フィーチャー」「社説・論評」その他の欄に分かれて記載され、債権者新聞に掲載されていない出来事が債務者文書に記載されることはない。
(七)債務者文書の「主要経済ニュース」の項目には、債権者新聞の「What's News―」の「Business and Finance」欄に掲載された記事のほぼ全てが、「主要国際ニュース(又は主要一般ニュース)」の項目には、債権者新聞の「What'sNews―」の「World-Wide」欄に掲載された記事のほぼ全てが、それぞれそのままの順序で、その全部又はその要旨が翻訳されて掲載されている。債務者文書には、債権者新聞の「What's News―」欄に記載されたニュースの詳細記事を除いて、その余の大半の記事(一部の記事については、抄訳されていない)が抄訳され、債権者新聞の当該記事の掲載順と同じ順で記載されている。
(八)債権者新聞と債務者文書とを対比すると、債務者文書の各項目における文章は1行当たり約34字で1行ないし3行という短文であるが、その記載内容で示される出来事としては、これに対応する債権者新聞の記事内容で示される出来事と同一である。例えば、債権者新聞1989年9月28日版のA1頁第6段からA20頁第1・第2段にかけて記載された「Off-Line Among Those Baffled By Technology Are Lots of Stock Analysts」と題する記事は250行余にわたる長文の記事であるが、債務者文書はこれを「当てにならないコンピューター・アナリスト・・証券会社の推薦株式が急落するケースが増加」と抄訳しており、極めて短文であるものの、この短文が伝達しようとしている出来事は、債権者新聞の前記記事が伝達しようとした出来事と同一である。
(九) 債務者は、昭和63年4月頃から債権者より再三著作権侵害を理由とする中止の要請を受けながら、債務者文書の作成・頒布行為を中止せず、殊に平成元年5月には警告書と題する内容証明郵便で中止を求められながら、平成元年11月20日付けで、会員に対し、「著作権上の問題が生じたので、記事の原文コピーサービス及び全訳サービスを中止するが、これに代わるものとして日本語要約サービス(債務者文書の作成・頒布)については引き続き行う」旨を記載した文書を送付している。
2 まず、既に発行された債権者新聞の編集著作権に基づく債務者文書の作成等に対する差止めの可否について、検討する。
(一)前記認定事実によれば、債権者新聞の紙面は、その新聞社の従業員である記者等が作成する原稿に基づいた報道記事、社説が主要な部分を占め、その他に株式相場、先物取引相場等の各種相場表、広告等によって構成されているところ、債権者新聞のこのような紙面構成は、債権者の従業員である編集担当者の精神的活動の成果の所産であり、また債権者新聞の個性を形づくるものであるから、紙面を構成するこれらの記事、写真、広告等の選択及び配列について創作性があるというべきであり、そしてこのような編集著作権は、債権者新聞を発行する債権者に帰属するというべきである。
(二)編集著作物である新聞における素材について考えてみる。
 新聞は、社会に生起するさまざまな出来事を素早く広く伝達するための刊行物であり、その製作過程は、前記認定の債権者新聞についての過程で明らかなように、多数の記者が、多様な取材・調査活動等により情報を収集して原稿を作成し、編集担当者等による採否・内容等のチェックという過程を経て初めて、債権者新聞の紙面に掲載されるというのであるから、この事実からすると、原稿を作成しながら採用されなかったケースだけでなく、記者が一つの出来事について取材・調査活動を行いながら原稿を作成しなかったケースや何らかの出来事についての情報に接しながら、記者段階で採否を判断し、取材自体を行わないケースも存するであろうことは容易に推認できるものであって、このような製作過程を考慮すると、新聞記事の編集とは、記者の作成した記事原稿という媒体を取捨選択することによって、伝達すべき出来事自体を取捨選択しているものというべきである。そうすると、選択・配列の対象となる素材は、一方では記者の作成した記事原稿そのものであるが、また一方では原稿を媒体として記者が伝達しようとした出来事自体であるということができる。このように出来事自体を著作権法の「素材」と考えることでがきることは、旧著作権法14条本文が「数多ノ著作物ヲ適法ニ編輯シタル者ハ著作者ト看做シ其ノ編輯物全体〈「体」は「部」の誤〉ニ付テノミ著作権ヲ有ス」と規定して、編集の対象が著作物である場合に限って編集著作権の成立を認めたのに対し、現行著作権法がこの規定を改め、「素材」との表現を用いていることからも明らかである。そして、右のように、現行著作権法が「素材」との表現を用いたことにより、単なる事実、データ、用語等の選択・配列についても、創作性があれば、これに編集著作権を認めることができるようになったと考えられるのである。
(三)前記認定のとおり、債務者文書に記載された各項目はいずれも短文であるものの、一つの出来事を伝達するものであり、また債権者新聞に掲載された記事が一つの出来事を伝達するものであることはいうまでもないから、いずれも編集著作物における素材と考えることができるところ、債務者文書の各項目が伝達しようとしている出来事はいずれも債権者新聞の記事に掲載された出来事であり、債権者新聞の記事に掲載されていない出来事が債務者文書に記載されていることはなく、またその配列もほぼ同一であるから、債務者文書が伝達しようとした出来事の選択・配列は、債権者新聞が伝達しようとした出来事の選択・配列とほぼ同一ということができる。そして債務者文書は、その表題自体が債権者新聞の名称、日付け及び曜日を取り入れたものである等債権者新聞に依拠して作成されたものであることは明らかである。したがって、債務者は、債務者文書の作成・頒布行為により、債権者が債権者新聞について有する編集著作権の翻案権を侵害しているというべきである。
3 次に、将来の債務者文書の作成・頒布行為に対する差止めの可否について、検討する。
(一)著作権法112条は、著作権を侵害するおそれがある者に対し、その侵害の予防を請求することができる旨規定しているから、既に著作権が発生している場合は、たとえ侵害行為自体は未だなされていない段階においても、予測される侵害に対する予防を請求することができることはいうまでもなく、また民事訴訟法226条は、必要性がある場合には将来の給付を求める訴えをすることができる旨規定し、更には著作権法は著作者等の権利の保護を図ることを目的としているから、これらの規定に鑑みれば、日刊新聞のように、短い間隔で定期的に継続反復して発行される著作物について、これまで著作権侵害行為がその発行毎になされてきた等の事情から、将来も発行予定の著作物に対する同種侵害行為が予想され、しかも発行による著作権の発生を待っていては実質的に権利救済が図れない場合には、将来の給付請求として、右著作物が発行されることを条件として、予測される侵害行為に対する予防を請求することができると解するのが相当である。
(二)債権者は、年間売上高において13億ドルに及び、またフォーチュン誌500社ランキングにおいて264位にランクされる等の有力メディア企業であること、債権者の発行する債権者新聞は、1889年に創刊され、以来継続して発行されている米国最大の日刊新聞であること、同紙は、従前から一定の編集方針を有し、これを堅持していること等は前記認定のとおりであり、これらの事実によれば、出来事の選択・配列について創作性のある債権者新聞が今後も確実に継続して発行され、したがって、債権者において、今後発行する債権者新聞について、これまでと同様の編集著作権を確実に取得するということができる。
 また、債務者は昭和61年9月から継続して債務者文書を作成し頒布してきたものであること、債務者は債権者からの中止要請に対し、記事原文コピーサービス等は中止したものの、債務者文書の作成頒布は中止せず、かえって顧客である会員に対し今後もこれを継続する旨を記載した文書を送付していること等の前記認定事実によれば、債務者は、将来債権者新聞が発行される毎に、これに依拠してこれまでと同様の債務者文書を作成・頒布して編集著作権侵害行為を行うであろうことも確実であると認められる。
 更に、前記のとおり、債権者新聞は日々発行される日刊新聞であり、これに対応する債務者文書はその発行後直ちに作成され頒布されるというのであるから、債権者において、債権者新聞を発行する都度、対応する債務者文書の作成・頒布の予防ないし停止を請求すること、そしてその目的を達成することは、事実上極めて困難であるといわざるをえない。したがって、債権者新聞を現に発行するまで編集著作権に基づく予防請求をなしえないとするのは債権者の編集著作権の保護に欠けるというべきである。
(三)右のとおり、日々発行される債権者新聞について、その発行毎に同種編集著作権侵害行為が反復継続され、今後も同種侵害行為が予想され、しかも債権者新聞が発行されなければ予防請求することができないとするのでは実質的に債権者の編集著作権保護が図れないから、将来の給付請求の必要性があると認められる。また将来債権者新聞が発行されたときには、前記2の場合と同様に、債権者新聞に対応した債務者文書が作成され、債権者の編集著作権が侵害されるおそがあると認められる。したがって、債権者は、債権者新聞が発行されることを条件として、これに対応した債務者文書の作成・頒布行為の予防を求めることができるというべきである。
 なお、債権者は、将来発生する編集著作権に基づく差止請求権が現時点で既に発生し、これを被保全権利とする旨の主張をしているが、この主張の趣旨は、将来の債務者文書に対する差止めを求める点にあるから、右債権者の主張の中には、将来編集著作権が発生することを条件とし、この編集著作権が現実に発生した段階で生じる差止請求権を被保全権利とする主張も含まれているものと解される。
4 前記認定の諸事実によれば、債務者は、今後引き続き債務者文書の作成・頒布行為を行い、これにより債権者は著しい損害を被るおそれがあると認められるから、保全の必要性があるというべきである、
5 以上のとおりであって、本件仮処分命令は、将来の債務者文書に対する作成・頒布の差止めを何らの条件を付することなく認容した点において相当でないから、その主文を別紙(1)のとおり変更するのが相当である。
二 債務者の主張に対する判断
1 (債務者の主張1(一)(二)について)
 債務者は、憲法21条の表現の自由は、情報の受け手の知る権利をも保障するものであり、特に時事に関する情報の流通は民主制にとって不可欠であることから、著作権法は著作者に対し創作への報償として一定の権利を付与するものの、情報の過度の独占は文化の発展を阻害するため、同法は、創作への報償と情報の自由流通の間に適切なバランスを取ることを目的とし、また同法10条2項は、このような憲法の表現の自由に由来する重大な要請のために著作権は一定程度道を譲るべきことを宣言した規定と解すべきである旨主張する。
 しかしながら、憲法21条の表現の自由が、情報の受け手の知る権利をも保障するものであり、特に時事に関する情報の流通は民主制にとって不可欠であることは、債務者の主張するとおりであるが、著作権法1条は、同法の目的について、「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。」と規定しているのであって、債務者主張のように、創作への報償と情報の自由流通の間に適切なバランスを取ることを目的としていることを規定しているわけではなく、また事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は言語の著作物に該当しない旨を定めた同法10条2項も、事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道がそもそも同法2条1項1号にいう「思想又は感情を創作的に表現したもの」に該当しないから保護の対象にならないということを確認的に規定した規定であると解されるのであって、債務者主張のように、表現の自由に由来する重大な要請のために著作権は一定程度道を譲るべきことを宣言した規定であると解することはできない。
 本件において、債務者は、前記のとおり、債権者新聞の個性を形づくる素材の選択・配列を債権者新聞に依拠してこれを模倣した債務者文書を作成し、これを多数の者に商業ベースで頒布していたものであって、このような行為が表現の自由の名を借りて許されるものでないことはいうまでもなく、債務者の前記主張は理由がない。
2 (債務者の主張1(三)について)
 債務者は、原著作物自体を代替しない要旨や要約については許諾なしで、データベースに編入しうることを認める考え方があり、この考え方は電子的手段によらない弱い編集物である本件においても認められるべきであり、本件において、債権者新聞の各記事に対応する債務者文書の各記述は最小限の要旨であり、個々の記事についても、全体についても代替しうるものでないから、本件は許容される旨主張する。
 しかしながら、原著作物自体を代替しない要旨や要約については、原著作物の著作権者の許諾なしでデータベースに編入しうるとの考え方が存在するとしても、それは、そのような要旨や要約が原著作物自体を代替しない以上原著作物の著作権を侵害するものではなく、またこの種のデータベースは、データベースとしての独自の観点から情報の選択又は体系的な構成をし、この点について創作性を有し、他者の編集著作権をも侵害するものではないと考えられるからであって、債務者文書に採用された項目の選択・配列が、債権者新聞の記事の選択・配列に依拠し、ほぼ同一である本件においては、前記のような考え方は相当しないのであって、右債務者の主張は理由がない。
3 (債務者の主張1(四)について)
 債務者は、編集著作物は、与えられた素材を選択・配列するという、それ自体では創作性の発揮しにくい行為を根拠とするから、その保護も弱くならざるをえない、素材の選択・配列行為は、元来従属的で創作性を発揮しにくいものであるから、安易に著作物性が認められてはならないし、仮に編集著作物性が認められる場合であっても強い保護を認めるべきではない、新聞においては、素材の特性から、事実自体の独占につながらないように格別の配慮が必要である旨主張する。
 しかしながら、素材を選択・配列することが創作性の発揮しにくい行為であり、その保護も弱くならざるを得ない旨の債務者主張の一般論自体肯定することができない。また、新聞の場合、記者が種々の取材・調査活動で接することのできた多数の出来事のうち、新聞記事として何を取り上げ、どのような形で取り扱うかは、新聞の個性を形づくるものであり、新聞としての創作性を大きく発揮しうるところであるから、創作性の発揮しにくい行為である旨の債務者の主張は到底首肯することができないし、世の中には、一般総合新聞、経済新聞、スポーツ新聞、地方新聞、業界新聞等の多種多様な新聞が存在し、これら各新聞の個性は選択・配列された出来事の相違に基づいたものということができ、このような選択・配列の創作性に所定の保護が与えられるのは当然のことであって、強い保護を認めるべきではない旨の債務者の主張は採用できない。また、何人も、種々の方法をもって事実に接することができるのであるし、また新聞に掲載された個々の記事から事実を抽出して利用することも当然許容されるものであるから、特定の新聞における素材の選択・配列の創作性を保護することが、事実自体の独占につながるとの論も到底理解できないことであって、この点に関する債務者の主張も理由がない。
4 (債務者の主張1(五)について)
 債務者は、編集著作権は特定レベルの素材を前提に、その選択・配列の創作性によってかろうじて成立する微妙な権利であり、素材の表現が異なれば、素材に依存する編集著作物の表現も異ならざるを得ないところ、本件においては、言語表現としての素材のレベルは全く異なり、債権者新聞の各記事とこれに対応する債務者文書における文章とは、複製や翻案という著作権侵害関係に立たないから、編集物全体としての表現も全く異なるものであって、編集著作権の侵害には当たらない旨主張する。
 しかしながら、編集著作権は素材の選択・配列に創作性があることにより成立する権利であるから、編集著作権の侵害の有無を考えるに当たっては、選択・配列の対象となる素材の内容・趣旨が実質的に同一であれば、両素材の具体的表現の相違は考慮する必要はないというべきところ、新聞という編集著作物においては、原稿のみならず、原稿という媒体により伝達される出来事自体も素材として考えることができること、債権者新聞の記事と債務者文書の項目とを対比すれば、両編集物の素材としての出来事の選択・配列に同一又は類似性を認めることができること、債務者文書における出来事の選択・配列が債権者新聞のそれに依拠して作成されたものであること等から、債務者文書の作成・頒布が債権者新聞の編集著作権を侵害するものであることは前記判示のとおりであって、債務者の右主張は理由がない。
5 (債務者の主張1(六)について)
 債務者は、将来発生する編集著作権に基づく差止請求は現行著作権法の解釈上許されないから、将来分の差止請求は許されない旨主張するが、前記判示のとおり、本件においては、将来発生する編集著作権に基づく差止請求が可能であるとするものではなく、将来の給付請求の必要性があるとして、債権者新聞が発行されることを条件に、発行により生じた編集著作権に基づく予防請求を認めたものであるから、債務者の主張は、この限りにおいて理由がない。
6 (債務者の主張1(七)について)
 債務者は、債務者文書の作成・頒布は公正利用の法理により許容される旨主張する。
 一般的に公正利用の法理が認められるかどうかはともかく、本件は、債務者において債権者新聞を無断利用して債務者文書を作成し、これを1か月3万円余の会費、又は100字当たり1000円の料金等の商業ベースで、多数の会員に頒布しているものであり、新聞の個性を形づくる重要な編集著作権を侵害する債務者のこのような行為が公正利用として許容されることは、到底ありえないものであって、債務者の主張は理由がない。
7 (債務者の主張2(一)ないし(四)について)
 債務者は、本件仮処分命令の主文の表現について、種々論難するところ、本件仮処分命令については、前記判示のとおり、変更されたものであるから、債務者の主張は、変更された主文に含まれる限度で理由があり、その余は理由がない。
8 (債務者の主張2(五)について)
 債務者は、本件仮処分命令には何ら理由が付されておらず、裁判の公正が担担〈「担」の一つは重複?〉保されない旨主張するが、本件仮処分命令には「債権者の申請を相当と認め」と記載され、債権者の申請をそのまま認容したことが明らかであるから、本件仮処分命令に違法はなく、この点についての債務者の主張は理由がない。
9 (債務者の主張3について)
 債務者は、最終審尋期日から本件仮処分命令が発令されるまでの間の手続きが不公正である旨主張するが、仮に債務者主張のとおりの経緯であるとしても、本件については、仮処分命令申立てから最終審尋期日まで2年近くの間審尋が続けられたものであって、最終審尋期日以降に債権者から提出された書面に記載された事項は、いずれもそれまで提出された準備書面や疎明資料に表れていたものであり、これに対する債務者の主張・疎明を確認することがなかったとしても、公正を欠くということはできない。
三 結論
 以上のとおり、本件仮処分命令は、別紙(1)のとおり変更することとする。

東京地方裁判所民事第29部
 裁判長裁判官 一宮和夫
 裁判官 足立謙三
 裁判官 前川高範


別紙(1)
主文
一 債務者は、別紙文書目録(1)の文書を作成し又はこれを頒布してはならない。
二 債務者は、別紙文書目録(2)の文書を、当該特定日付けの日刊新聞「THE WALL STREET JOURNAL」が発行されることを条件として、作成し又はこれを頒布してはならない。

別紙
文書目録
(1)ウォール・ストリート・ジャーナルとの名称、特定日付け及び曜日を頭書きし、債権者により昭和61年9月1日以降本件口頭弁論が終結された平成5年1月22日までに発行された日刊新聞「THE WALL STREET JOURNAL」(東部版及び西部版並びに各改訂版を含む。但し、広告部分、株価、社債価額、金利、為替レート、商品先物相場、法人の決算報告を数値又は図表で表示した部分及び死亡記事を除く。)の記事の全部又はその大半を1行ないし3行程度の日本語に抄訳し、これらを、番号を付した項目のもとに、右頭書きされた特定日付けの右新聞の紙面構成に対応して、「主要経済ニュース」「主要国際ニュース(又は主要一般ニュース)」「フィーチャー」「社説・論評」その他の欄に分類して配列した文書
(2)ウォール・ストリート・ジャーナルとの名称、特定日付け及び曜日を頭書きし、債権者により本件口頭弁論が終結された日の翌日である平成5年1月23日から発行される日刊新聞「THE WALL STREET JOURNAL」(東部版及び西部版並びに各改訂版を含む。但し、広告部分、株価、社債価額、金利、為替レート、商品先物相場、法人の決算報告を数値又は図表で表示した部分及び死亡記事を除く。)の記事の全部又はその大半を1行ないし3行程度の日本語に抄訳し、これらを、番号を付した項目のもとに、右頭書きされた特定日付けの右新聞の紙面構成に対応して、「主要経済ニュース」「主要国際ニュース(又は主要一般ニュース)」「フィーチャー」「社説・論評」その他の欄に分類して配列した文書

別紙(2)(債務者文書の一部)
■■ウォールストリート・ジャーナル 89年9月28日木曜日■■
アメリカを読む研究会
[1面]
〈主要経済ニュース〉
A1.IBMの第3四半期及び通年の収益、予想をかなり下回る見込み
A2.ソニー、コロンビア・ピクチャーズ社の買収契約に最終的に合意―買収金額は日本企業では市場最高の34億ドル
A3.ブラニフ航空がほとんどのルートで航空便を削減―財政逼迫のためとの憶測を呼ぶ
A4.OPEC石油輸出国機構、生産上限拡大決定―石油価格引き上げの為の国別割当枠の見直しには合意出来ず
A5.企業買収家の【A】氏に4年間の懲役と150万ドルの罰金判決――不正証券取引等の罪で
A6.米下院、企業の重役に対する特別手当を奨励する税制条項第89条の廃止を決定
A7.ゴールドマンサックス証券等証券大手4社、証券価格統計販売の為の合弁企業体設立を計画
A8.クラフト・ジェネラル・フーズ社、現社長の【B】氏を会長兼最高経営責任者に指名
A9.トヨタ自動車が来年販売の大衆車の価格を最高2.5%引き上げ―米市場のシェア拡大をねらう
A10.各国中央銀行の協調介入のなかドル急落――証券価格はしっかり、債券は不調
A11.ペプシ・コーラ社がカフェイン抜きの清涼飲料水「ペプシAM」を中西部で実験販売
A12.アップル・コンピューター社、日本の半導体企業に対抗するために6月に設立された合弁企業体USメモリーズへ資本参加はせず
A13.サックス・フィフス・アベニュー社の【C】会長、同社レバレッジド・バイアウトを計画
<WSJ 890928 木>
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